花咲くいろはで和傘の使い方が根本的に間違っている件

 石川県が舞台の人気アニメ、「花咲くいろは」の4話が昨日放送されたのですが*1、365日和装の人間として見逃せない点が。そう、「和傘の使い方」です。はっきり言って、和傘の使い方が酷すぎる。老舗旅館と言うことで、おそらく作中で使われている和傘は加賀和傘と思われますが、せっかくの銘品が泣いています。

 まず重要な点を一つ。
 和傘と洋傘は上下が反対
 なのです。
 普通洋傘は、立てかける時に持ち手を上、傘の尖った部分を下にして立てかけます。
 しかし、和傘は写真のように上側が革や布で覆われ、持ち手側に金属のカバーが付いています。つまり、立てかけるさいには持ち手側を下にして立てかけるのです。このアニメのように、洋傘と同じ方法で立てかけてしまうと、革が擦れてあっという間に傷んで水がしみ出すようになってしまいます。


 写真は私の傘ですが、本物の加賀和傘です。1本35,000円くらい。緒花たちが使っているものとほぼ同じような形状です。骨が太く紙も厚め。吹雪の中使用してもびくともしません。ちなみに、松田和傘店では和紙に印刷できるものなら、デザインの持込も出来ますし、書家や加賀友禅の職人にデザインをオーダーすることもできます。だれか、作中の傘を実際に作ってみる人はいませんか?

 あと、エンディングで和傘を乾かしている場面がありますが、あのような乾かし方は絶対にしてはいけません。和傘は紙で出来ているので、あのように開いて乾かすと開き癖がついてしまい、正しく閉じられなくなります。

 和傘の乾かし方は二通り

  • 日常的に使用する場合


 上の部分に革で出来た取っ手が付いているので、閉じたまま軒下などにぶら下げておきます。5分も吊しておけば自然と雨水が下に流れ、一晩もすれば冬でもほぼ乾きます。私は年の半分は雨が降る、と言われる石川県に住んでいますので、和傘も日常的に使用しています。というわけで私の場合はこの方法で乾かしています。
 ただし、年に数回しか使わない、という場合はこの乾かし方はNG。閉じた状態で乾かすので、紙と紙が張り付いて最悪破れてしまったり、虫食いや黴の被害に遭うこともあります。

  • 年に数回しか使わない場合

 完全に開いて乾かすと先ほど書いたように折り目が消えて閉じられなくなってしまいます。というわけで、写真のように完全に開かずに半開きで陰干しします。充分に乾いたら、虫除けなどと一緒にしまっておくと良いでしょう。この時も、紙同士が張り付くのを防ぐため、紐などで縛るのはよくありません。


正しい干し方の例

  • 和傘はちゃんと乾かせばメンテナンスフリーで5年から10年は保ちます

 私は和装になって5年以上、和傘を購入してからもそれくらい経ちますが、今年初めて骨を折ってしまいオーバーホールに出しました。逆を言えば、ほぼ丸五年も保ったことになります。また、和傘は紙を貼り替えたり油を塗り直したりすることで、何十年も使い続けることが出来ます。究極のエコアイテムの一つであると言えるでしょう。

 というわけで、和傘はちゃんと正しい方法で使いましょう(笑)。

*1:日付としては今日